アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を運営する株式会社マクアケ(以下、当社)は、定期的に社外からの意見を集め、議論し、サービス運営に反映することで、今後もより社会環境に即した健全かつ価値のあるプラットフォーム運営を目指すことを目的に、社外の重要な関係者であるサポーターや実行者、各界の専門家から構成する「外部有識者会議」を運営しています。
※「外部有識者会議」に関する詳細は、こちらをご覧ください。
2022年10月14日(金)に、「Makuake」で新商品や新サービスのプロジェクトに挑戦する事業者であるプロジェクト実行者(以下、実行者)をお招きした「外部有識者会議 実行者分科会」の第2回を開催したので、その概要を公開します。
なお、今回参加された実行者は、飲食店、フード、エンターテインメントジャンルにおいてそれぞれ「Makuake」でプロジェクトを実施したことがあり、各業界において幅広く携わっている方々です。
※別途実施したプロダクトジャンルの実行者による「実行者分科会」の概要については、こちらをご覧ください。
■マクアケ「外部有識者会議 実行者分科会」第1回概要
【日時】2022年10月14日(金)15:30~17:00
【場所】オンライン
【出席者】
<実行者> ※50音順
中村 仁氏:株式会社グレイス 主要株主、株式会社トレタ 代表取締役 CEO
福原 慶匡氏:エンタメコンテンツプロデューサー、株式会社8million 代表取締役社長
村岡 浩司氏:株式会社一平ホールディングス 代表取締役社長
<当社>
坂本 めぐみ:執行役員 品質保証本部長 兼 人事本部長
矢内 加奈子:執行役員 コミュニケーション戦略本部長
松岡 宏治:執行役員 キュレーター本部 第1キュレーション局 局長
【アジェンダ】
1. 本会議の目的の説明及び出席者による自己紹介
2. 直近の「Makuake」に関する説明
3. 「Makuake基本方針」に関する説明
※「Makuake基本方針」についてはこちらをご覧ください。
4. 実行者の皆様からのご意見
■議事概要
・当社より、本会議の目的と当社および「Makuake」の最新状況を改めて説明した。
・当社より、「Makuake」に掲載するプロジェクトの考え方と基準を明文化した「Makuake基本方針」について共有した。
・参加実行者より、前述の説明内容や各業界の最新動向、各業界における「Makuake」の活用に対する考えついて広く意見を募った。
■各実行者からの意見
◯フード業界における現状や課題について
・大量生産大量消費、次にくるトレンドを追いかけるところから、少しずつソーシャルグッドやエシカルのようなキーワードや、いわゆる自分たちが作りたいものを作ることが良いよねという、ある意味でプロダクトアウトの考え方が復権してきていると感じる。
・久しぶりに行った展示会で、「Makuake」で売れるものと、展示会でバイヤーの目に留まって売れるものは少し違うなと感じた。
「Makuake」で売れるものは、実行者とサポーターが一緒に育てられるもの。自分自身がここ1年間で50件ほどのプロジェクトに伴走して感じたのは、みんなで育てて、みんなで応援して、それがだんだんと育っていく様子が楽しいから、物語を見ているように追いかけていく。そうやって育まれていくものが「Makuake」的だなと自分は思っている。
一方で、バイヤーに売れるものは、ある程度の再現性が必要。例えば、しっかりとした価格戦略があるか、デザイン性や品質が担保されているかなど。
・「Makuake」は「応援購入」という表現を使っているように、ある程度「応援」の文脈があるので、そのものの背景や物語がしっかりあれば、それを伝えることで実行者の身近なところから同心円状に広がっていく面があると思う。ただ、それを流通に乗せてバイヤーさんに売ってもらおうとか、店舗に置いてもらおうと思ったら、そこにはやはりある程度の食品、加工食品としての再現性がきちんとないと売れないと思う。その部分は、知っている人が教える、もしくは学び合うような機能が必要で、自分たちはそこを補完したいと思って活動している。
◯エンターテインメント業界における現状や課題について
・エンターテインメントコンテンツが生まれる中でもいくつかのフェーズがあり、自身の場合はいわゆるシードをつくる段階で実施した「Makuake」のプロジェクトに関わった。
・エンターテインメントジャンルは、物質的な価値ではなくコンテンツに価値がある。衣食住などの生活に関わる「モノ」のジャンルと比べると、自分の好きなコンテンツ以外はどうでもいいと思われがちで、ファン以外の「偶然客」がほぼいない。
・アニメ業界の賃金が改定された影響もあり、全体的に制作費が高騰している。1シリーズしっかり作り込もうとすると4~5億円ほど必要になり、さらにリターンを考えると7~8億円ほどが必要だが、それをプロジェクトで集めるのはかなり難しいと思う。
・自身が関わったVRキャラクターのアニメ化プロジェクトが伸びたのは、人気漫画家がキャラクターの原案を手掛けていることや、有名な声優を起用していたことの影響が大きかった。そういった人たちの協力を得られないと、プロジェクトとして成り立たないのではないか。
・コロナ禍でエンタメ業界でもDXが進み、クリエイターも様々なSNSやプラットフォームを使っている。クリエイターエコノミーが浸透し、一般の人がクリエイターを直接支援する際、クラウドファンディングの仕組みに限らずネットショップやフリマアプリなど様々なサービスがあるので、何かのプラットフォームを使えば自分で受注生産する仕組みをつくることができる。
・IPを持っている立場で考えると、ある程度ファンはいて自分たちでSNSを経由し集客もできる。決済のプロセスでどこかのプラットフォームを使いたいという考え。
・自身がプラットフォームとして「Makuake」を選んだ理由は、当時新しいVRジャンルのプロジェクトだったため、新しいもの好きな人が多く、そういうもの自体が応援という文脈にはまるかなと思ったから。また、応援購入を通してプロジェクトに関わってくれる人が増え、新しいファンができることを期待して実施した。
・前述の通り制作費が高騰している状況なので、コンテンツを生み出すための資金を集めるためにプロジェクトを実施するというよりは、生み出したコンテンツの宣伝や応援の輪を広げるフェーズで「Makuake」を活用する方が現実的な使い方ではないかと感じている。
◯飲食店業界における現状や課題について
・リアル店舗にお客さんが回帰し始めていて、コロナ禍で超えられなかった売上の壁を最近超えたという店もあると聞く。明らかに今まで外食を控えていたお客さんたちが戻ってきている感覚がある。
・コロナ禍で急増したフードデリバリーは利用が落ち着いてきていて、出店者も減っている様子。
・プレイヤーの入れ替わりは如実に起きている。既存店舗は資金や人手不足で引き続き苦労していて、お客さんの戻りに追いついていない店もある。コロナ禍で他業界に転職したスタッフが、他業界で満足していて外食業に戻ってこないということが起きている。その一方で、他業界から参入してきたような新規店舗は資金や人手もあり元気で、プレイヤーの入れ替わりが進んでいると感じる。
・「Makuake」では「応援購入」という表現をしているが、少しニュアンスの違う言い方をすると、サポーターとは「共感」関係にあると思っている。「応援」は応援する側とされる側の立場があるが、「共感」だと同じところに立って同じ目線で同じものを一緒に横に並んで見るようなイメージがある。サポーターと実行者はそういう対等な関係性が理想なのではないか。
・今、飲食店に必要なのは共感できるストーリーがあることだと思う。全体的にお店のレベルが高くなり味で差別化することが難しい現状において、自分たちの店を選んでもらうためには、お客さんに「この店は自分のことを認識して大事にしてくれている」と思ってもらえるかどうか。それは経済的なメリットではなく、やはり共感できるかどうかだと思う。
・単純にオープン前に店のことを知ってもらうためだけに「Makuake」を使ってもあまり意味はなく、プロジェクトを通してサポーターに共感してもらうために、どれだけお店の物語を紡いでどれだけエモーショナルに伝えられるかが重要。
・ストーリーを語れない実行者がいたとしても、物語のない人はいないはずなので、自分の語るべき物語をその実行者がわかっていないだけ。その物語を引き出して、それをどれだけ共感を得られるように表現していくかというサポートを「Makuake」でできると価値があると思う。
・他にもプロジェクトページをつくる段階や進める段階でハードルはある。飲食店の人たちは料理のプロではあるけれど、ITが苦手な人達も多いので、そこをどれだけ支援できるかが、飲食店が「Makuake」を使う上でのポイントになってくると思う。
◯「Makuake」としての発信について
・文字よりも映像のほうが伝わりやすいことを考慮すると、「Makuake」の公式YouTubeをもっと活用した方がいい。商品のスペック説明ではなく、作り手にフォーカスしたオリジナル動画を公開していくのはどうか。
・「Makuake」として発信していくコンテンツであれば、主語が「Makuake」のキュレーターや中の人になっていて、ビジョン(「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」)に沿って、プロジェクトを紹介していくのがいいのではないか。
・応援購入総額が多いプロジェクトだけが珍重される世界はやはり違うと思うので、「Makuake」として応援したいプロジェクトとはどのようなものかを示してほしいと思う。
◯サポーターとのコミュニケーションについて
・現状の「Makuake」の仕様だと、応援コメントに返信してもサポーターに通知されず気づかれないこともあり、活動レポートは実行者からの報告がメインで、サポーターもコメントはできるものの双方向感があまり感じられない。もっとサポーターとの双方向のコミュニケーションをとりやすくしてほしい。
・例えば現在進行中のプロジェクトで、すでに応援購入して応援コメントを送ってくれたサポーターがプロジェクトを一緒に盛り上げる仲間になってくれるような、サポーターとのコミュニティをつくれる機能があるといい。
◯その他「Makuake」への要望・意見
・「Makuake」でプロジェクトを実施して終わりでなく、その後も継続してサポーターから応援購入を募れるようなサブスクのようなモデルができると、サポーターとの接点も持ち続けられてコミュニケーションもとりやすくなるのではないかと思う。
・プロジェクト開始時に、ライブ配信をし、サポーターに対してプロジェクトをアピールしたことがある。ライブコマースのようで盛り上がったので、「Makuake」としても仕組み化して提供できるといいのではないか。
■今後の検討事項
・「Makuake」として発信していくコンテンツの整理と再考
・サポーターと実行者が双方向のコミュニケーションをとりやすくするための仕組みや機能改善の検討